適職診断例 – 経理(40歳男性)の方のケース

Aさんは、経理部のマネージャーです。年齢は40歳、昔なら不惑の歳と言われる年頃です。ですが、人生100年時代と言われる現代では「今の仕事は自分に向いているんだろうか、本当は他に天職があるかもしれない」と迷う年齢でもあるようです。

 

 

Aさんのルミナは、左半分、つまり、「データ重視」と「人間重視」で成り立っていると言っても過言ではありません。「根拠重視(堅実と訳されている)」「規律重視(ルール、プロセスに則るのが得意)」なのは、細かい作業を伴う仕事に向いています。

お目にかかると穏やかな方で、タスクより人の輪を大事にする「人間重視」の資質と、「内向性」の高さが控えめな言動に表れています。経理は天職だと言えます。

ところが、Aさんはマーケティングへの転向を考えておられて、かなり驚きました。マーケティングには、高い黄色(ビジョン重視)のスコアが必要ですが、Aさんの黄色はとても小さいためです。もっと細かいデータを見ても、「革新的」と「想像力豊か」のスコアがかなり低く、売り上げを上げるために、新しいイベントを企画したり、PRツールを考えたりするのは苦手とはっきり出ています。

次に私がしたことは、「今、なぜマーケティングなのか?」を伺うことです。人間、データを見せられても、感情で納得できないと受け入れられないことも多いものです。私は、天職に就いている彼の苦手分野へのキャリア転向を、なんとか阻止したかったので、どうすれば腑に落ちるだろうかばかりを考えていました。

ヒヤリングの結果、「そろそろ40歳だし、何か新しいことにチャレンジするなら、これがラストのチャンスかもしれない」と思ってらっしゃることがわかりました。少し人生に焦りを感じておられることもあり、このままではいけないのではと思い込んでおられました。職場の人間関係は、穏やかな彼のことなので良好です。会社の将来に不安があるわけでもないので、いますぐ転職しないといけない理由はありません。

データ重視の彼に、まず、経理に求められる資質にはどんなものがあるだろうかと尋ねました。「細かいことに注意が行く、プロセス・納期を守れる、根気がある、裏方に徹することができる」などが挙がりました。次に、マーケティング部にはどんなタイプが多いか、優秀と言われている人はどんなタイプかを聞きました。「企画力がある、チャレンジが好き、独創的、社交的」などが挙がりました。それぞれのポジションに必要な資質を明確にしたところで、Aさんの詳細データをお見せしました。彼がどうすべきかは明らかでした。経理は非常に向いている職業であり、マーケティングの適性はあまりないというのが事実です。

Aさんは、この結果に納得されました。漠然とした人生への焦りから、新しいことにチャレンジしないといけないような気になっていたけれど、実は、現在の仕事が天職であることに気がついたのです。

自分のことを客観的に判断することは、誰にとっても難しいものです。キャリアの方向性に迷ったら、強み・弱みの棚卸しをして、冷静に進む道を決めることが大切です。今の仕事が向いているかいないか、実は天職であるかなども、明確にわかります。