適職診断例 – プロジェクトマネージャー(32歳男性)の方のケース

ご相談者は32歳の男性で、IT企業でプロジェクトマネジメントをされています。
転職を考えていて、転職先にどんな企業を選んだらよいかがご相談内容でした。

 

 

彼(Aさん)は、データ重視・規律重視・結果重視のスコアが高いので、プロジェクトマネジメントは適職です。たくさんの人と関わる仕事なので、内向的のスコアが高いことは少し不利ですが、外向的のスコアが非常に低いわけではないので、仕事で必要な時には外向性を発揮できるはずです。

強みでないのは、ビジョン重視と直感重視です。大きな絵を見ること、創造性、変化する力、直感で動くこと、柔軟性は得意分野ではありません。どれもプロジェクトマネジメントには必要ない資質で本来は問題にならず、ご自分の強みを活かして仕事を続ければ良いはずなのですが、ここで課題が発生してしまいました。

スペックが決まっているプロジェクトをきちっと回すことが得意なAさんに、上司がプロジェクト自体の提案を求めるようになったのです。話をよく伺うと、上司の方はビジョン重視で企画立案も得意なタイプのようです。優秀な部下であるAさんの、さらなる成長を願い良かれと思って、企画力をつけるよう配慮してくださっているのだとは思いますが、自分の不得意エリアで勝負しないといけなくなったAさんは、ストレスを感じるようになってしまいました。

ある人材が、仕事のために不得意エリアをストレッチして何とかするためには、それなりのベースがあることが成功の鍵です。企画のために必要な資質の一つである想像力、Aさんのスコアは5%です。100人並んだら後ろから5番め、95人がAさんより創造性にすぐれていることになるので、何とかストレッチすること自体が厳しいです。たくさんの強みをお持ちの人材が、勿体ない状態になってしまいました。

Aさんの現職は著名なIT企業で、簡単に捨ててしまうのは惜しいしリスクもあります。もう少し前にお目にかかれていたら、転職しないで上司と話し合うことを提案したと思います。「企画力」を、Aさんの仕事から外してもらうための相談です。

ただ、私がお目にかかった時には、苦手なことをするようになって1年半が経っていました。期待に沿うレベルで提案ができないことが引き金になって、モチベーションが下がり、プロジェクトマネジメントの仕事自体、自分に合っていないのではと感じるまでになってしまいました。そして、ここが肝心ですが、心が組織から離れてしまっていました。25年の人事経験から、「心が組織から完全に離れている」人材をとりあえず引き留めてみても、必ずまた転職したくなるとわかっていたので、Aさんの転職をサポートすることにしました。

適職に就いている人材の転職が決まったら、あとは向いている企業はどんなタイプかを考えることになります。Aさんの細かいデータを見ると、「慎重」「物事に控えめ」「思慮深い」のスコアが全て90%以上で、安定志向であることがわかります。この変革の時代にどの企業に何が起こるかわからないと言いながら、企業サイズは大きい方が、成長段階は成長期か安定期にある方が、Aさんに向いています。業界・企業が持つスピードについては、現在、IT企業に在籍されているので早くても大丈夫です。

全く違う場を経験してみたいとのことで、ベンチャー企業に心惹かれるようでしたが、ベンチャー企業では柔軟性と決断力を活かした機動力が求められるので、転職先候補から外すことをアドバイスしました。

適職に就いているのに、環境の変化や人間関係で転職を考えるようになるケースが結構あることは残念です。転職を決める前に、辞めたくなっている理由を分析することをお勧めします。本当に転職すべきなのか、現職で仕事の中身を見直したり異動することで解決できるのか冷静に見極められると、無為に転職回数を多くしないですみます。来月は転職市場がスローダウンする夏休み、適職についているかどうかを見直して秋からの転職戦線に備えてください。

強みを活かしたキャリアパスが拓けるよう祈っています。